絶対ここに住んじゃうもんね!!ーギリホリ女子のオーストラリア赤裸々生活ー

ギリホリでオーストラリアワーホリに飛び込んだHIROが永住権を取るまでの道のり

偶然は運命なのだ。だからもう決めちゃうのだ。

「こんにちは~。ポスターを見て連絡した者です…。」

小さい事務所を入ると、世界地図とか、なんか『それっぽい』資料とかが置いてある、ザ・事務所だった。英会話教室の事務室みたい。

担当をしてくれた人は、明らかに私よりも年下のかっこいい男性。

『これは、気を許してはいかんパターンだ!』と気を引き締める私(笑)。

 

「担当の坂田です。よろしくお願いします。」

坂田さんは、とってもさわやかなイケメン青年だった。アラサーという言葉さえなかった時代、アラサーの私は密かに戸惑っていた。

イケメンで口がうまい営業のいる事務所。うさんくさい。

 

「海外に行きたいと思っていて、全然よくわからないので、お話だけでもと思って来ました。イギリスのインターンとか考えてるんですが、お勧めってありますか?」

坂田さんがどんな感じでお話を聞いてくれたか、正直全然覚えてないんですよ。彼の顔も覚えてない。たださわやかなイケメンだったし、誠実で一生懸命な若者だった。

そして彼の上司はホスト崩れみたいな、茶髪のちゃらちゃらした感じのスーツの男だった。という印象。

ぶっちゃけもし最初にその人が担当をしていたら、私はその事務所を使っていなかったと思う。

(10年後別件でその人と関わる事があろうとは、神のみぞ知る!!)

ともかく、不安でいっぱいな私の話を受け止めてくれた後、坂田さんは言った。

「それだったら、ワーキングホリデーとかどうですか?」

興味はあるけど、よくわからないし、不安なんです。

と伝える私に、坂田さんは彼の経験を語ってくれた。

 

坂田さんは高校球児で、野球をめちゃめちゃ真剣にやっていたが、挫折。

20歳でワーホリに行くことにした。

オーストラリアをラウンドして、人生のとてもいい経験となった。

それが元でこの仕事をする事を決意したのです。

写真も見せてくれた。

本人が目の前で自分の経験を語ってくれる事の説得力よ!!

やればできそうな気持にさせられるではないか。

 

しかも面白かったのは、その事務所では、語学学校とホームステイをくっつけていなかったんです。

『語学学校に行って、日本人や韓国人とつるんでしまうのではもったいない。最初に語学研修として、職場体験ボランティアをうちは勧めています。』

というんですよ。

確かに、現地の人たちと触れ合いながら英語を伸ばせて、これはいいプログラムだと思います。今でもそう思っている。

お金を払って、最初の1~3か月間のホームステイ先と職場体験先を斡旋してもらい、残りのワーキングホリデーは自分で頑張ってください。

というスタンス。

面白くないですか???

もともとインターンってそれと同じ事だったから、そこにボーナスで残りの9か月好きに過ごしてみよう!がくっついてくるんだって。

もし嫌だったら3か月過ごしたら帰ってきたらいいんです。

 

もともと、私はすぐに人の話を信用して、すごいいいなあって思ってしまうタイプだった。今は懲りてそうでもないけど。

このよく言えば素直、悪く言えばおばかちゃんな人を信じる性格を、私をよく知る友達の一人に『ビリーバー』と名付けられるのも後々の話。

「ひろちゃんは頭いいのに、そうやってすぐ人を信じてしまうのがすごいなあ」と言われましたとも!

この振りは、またあとできいてくるので覚えておいてください。

 

てな訳で、なんか具体的になってきて、できそうだと思えてきた私。

坂田さんは更に続けます。

「今のなかじまさんの年齢を考えると、国の候補としては、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドになると思います。」

イギリスは当時ワーキングホリデーは25歳までだったので、候補から外れてしまったのだ。

「治安、気候、人のフレンドリーさ、住みやすさ、物価から考えると、一番お勧めなのはオーストラリアです。」

カナダはとても人気がある。でもとにかく寒い。そして治安があんまりよくない。

ニュージーランドも治安はよくないし、物価が高い。

総合的にはオーストラリアは治安も悪くないし、物価も高くないし(私がオーストラリアに来た2007年は今より円が強かったと思います。1ドル100円でずっと計算していたもん。)、とてもフレンドリーな国民性で、とても住みやすい。

しかも日本との時差が少ない!!

お勧めはオーストラリアですね。どうしますか?

 

ここまで言われて、オーストラリアでない国を言える人がどこにいよう。

 

別にオーストラリアに何か文句があった訳じゃないんですよ。

ただ、オーストラリアに何の興味もなかったというのが本心。

コアラ、カンガルーとか興味ないし。

ゴールドコーストケアンズとか新婚旅行?興味ないし。

シドニーオペラハウスとか、エアーズロック=世界の中心で愛を叫ぶ(当時はやってた)とか興味ないし。

みたいなね。

でもグレートバリアリーフにはめっちゃ興味あった。ダイビングは絶対にしたいと思ってて、海の近くに住めたらいいな~みたいな?

 

後で考えたら、この事務所はオーストラリアのワーホリを専門でやってたんだろうな~って思う。

だから、あんなにカッコいい人にのせられちゃいかん!と思ってたのに、結局のせられてた!(笑)

でもいいと思います。

この国に何か縁があったという事です。

来た事に後悔してない。むしろオーストラリアを勧めてくれてありがとう坂田さん。

たくさんの人に、「あなたはどうしてこの国に来たの?」と聞かれました。

そのたびに、「偶然入ったオフィスがオーストラリア専門のオフィスだった」としか言えなくて何か申し訳なかったけど。

結局出会いは運命なんですよ。

偶然っていうのは、運命なんです。

時々、なんでここでこの人とばったり!?っていう事ありませんか?

いつもこの時間にこの電車にのらないのにとか、この地域にはめったにこないのにとか?

私、めっちゃあるのそういう事。

すべては運命なので、受け入れて楽しもう!!と思っています。

今はね。この時点ではそうではなかった。

まだ若かったよ。20代ですもん。

 

この日、私が「考えます」と言って持ち帰ったのか、それとも「決めます」と言い放ったのか、それすら覚えてません。

家族に相談とかもなかった。と、思う。

うちの家族はあんまりそういうの反対しないんで。

海外におとんが単身赴任してたし、小さい頃から英語教育をしてくれた親だった。

だからと言って、「英会話教室に通わせたの金の無駄だった!」とか言われた事もないし、「英語を使うような仕事をしてほしい」とか「海外に仕事で行ってほしい」とか言われた事も一切ないから、ぶっちゃけさばけた親だなって今となっては思う。

私が親だったら、「娘を一人で海外なんて!不安だ!」と思うだろうか。それとも、「自分のしてきた英語教育が実を結んでくれた!うれしい!」と思うだろうか。

うちの親はどっちだったんだろうね。

言わないだけで、両方思ってたのかな。

 

何はともあれ、私はこの事務所に、というか坂田青年という人物に私の人生をかけた。

でも表面はあくまで『まあ、それもいいですかね』くらいの体ですよ。

恥ずかしいからね。

お金がいくらかかったかも、覚えてないんですよ~。私、お金の事って喉元すぎるとすぐ忘れちゃうの。

そのお金を自分の貯金から払ったのか、親に払ってもらったのか、借りたのかも覚えていない。親不孝すぎる…。

 

私が選んだのは、ホームステイ+職場体験3か月。

3か月だと2か所選べますと言われた。3か月同じところだと飽きちゃうでしょ。

もともと子供に日本語を教えたかったので、現地小学校日本語クラスのアシスタントを選び、あとは何でもいい感じだった。

花屋さん、保育園、老人ホーム、あと何があったか覚えていない。

「保育園かな~。子供好きだし。」

と言う私に、坂田さんはこう言った。

「同じ様な事をしても意味なくないですか?ここは逆に老人ホーム行ってみませんか?」

…興味なかった。

 

「そうですね、じゃ、それでお願いします。」

もう、坂田さんの言うがままやん。のせられとるやん!

仕方ない。

その場でいい顔しちゃう私。何であの時…。って、あとでぐじぐじしちゃうタイプなんです。

これは本当によくない性格!!!!!いまだに改善できず!!!

 

これで私のプランは決定!

老人ホーム1か月ボランティア+現地小学校2か月ボランティア

あとは、坂田さんがホストファミリーを決めてくれて、私の海外デビューの地が決まるのだ!!

 

これは楽しみだぞ!!!動きだしたぞ!!!!!